FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年7月18日放送

北は員弁川、南は朝明川に挟まれ、東に伊勢湾を望む朝日町。
ここでこだわりのお米作りに励んでいるのが『ライスファーム・アグリ朝日』のみなさん。
4人のメンバーで活動を始めてから今年で5年目を迎えました。
代表の矢野隆司さんがお客様です。

農薬のお米作りをスタート

5年前に米の価格、私たちからすると生産者価格、農協が引き受ける価格がぐんと下がりました。
さらに2〜3年ガタガタっと下がったわけです。
1万円を割った時期があったのが、『ライスファーム・アグリ朝日』をはじめたそもそもの発端。
こんなことをしていていいのかな、と。
だったら自分で売ってもいいじゃないかという思いが芽生えてきました。
しかし、ただ作って売るだけでは面白くないので付加価値をつけようと。
農協へ出荷する価格では意味がないので、少し高く買ってもらうためには同じ栽培方法ではいけません。
たまたま『みえの安心食材制度』というのがあり、それをヒントに、減農薬米を作ってみなさんに提供しようと。
そうすると少し付加価値が付き、価格にも反映させることができます。
これが狙いでした。

 

聞折り込みで販売を始めた

朝日町は人口1万人の市町の一つですが、最初はこの地域で出発するのが、一番無理をしない安全策ではないかということで、町内をターゲットにしました。
『地産地消』という言葉をベースにして、はじめました。
朝日町は世帯数が4000世帯くらい。
新聞折り込みを出したのですが、新聞を取っている世帯数が2800くらい。
四日市の一部であるこの朝日町、それからごく近いところで富洲原、この地区に新聞屋さんにお願いして1年に1度、折込チラシを入れてもらいました。
その反応で、少しずつですが買ってもらっています。
仲間が4人いるので、注文を受けたら、誰かが届けるような体制になっています。

 

れぞれの特性にあわせた米作り

作っている米はコシヒカリ、ミルキークィーン、絹ヒカリ。
三重県のお米、結びの神も作り始めました。
お米はすべて、品種によって特徴があります。
コシヒカリは全国で一番作られている品種でありながら、市場評価が高いです。
しかし生産者からすると作りにくい。
それは倒伏(稲が倒れてしまうこと)しやすいから。
米の草丈が伸びやすいんですよ。
雨が多かったり、が多かったりすると、伸びやすいので油断していると倒れてしまいます。
作りにくいのですが、市場評価が高いので作らざるを得ません。
コシヒカリはみなさんもよく知っている品種なので、特性も少し知ってもらえるといいかもしれません。
特性に合わせて作付けも変えます。
田植えの時期も刈り取りの時期も違ってきます。
品種に合わせた生産的な技術を習得しないと、なかなか思うように収穫できません。
それはどんな品種でも同じです。

 

分の気質に合っている

稲作をする人が少なくなり、我々も田んぼを頼みますと言われて引き受けて、稲作を専業でやらせてもらっています。
昔は200戸300戸と農家がありました。
今も田んぼの所有者はほぼ変わらずにいるのですが、農業あるいは田んぼで生活している人は本当に少ないです。
朝日町全体でも20軒もいるでしょうか。
そういう意味では、僕らは少数派ですね。
田起こしに始まり、苗作り、田植え、稲刈り、乾燥やもみすり、袋詰めまで全部、自分たちで行っています。
イヤイヤやっていてもいかんし、好きだからという部分もありますが、けっこう仕事はきついし面積もどんどん増えてきて今に至っています。
これを継ぐ若い人が、もう少し出てきてもらえるとありがたいですね。
自分の気質に合ったところもあるし、食べてもらって喜ぶ顔を見ると、こちらの喜びもあります。
気持ちの張り合いがないと仕事はけっこうきついし、台風や集中豪雨など自然も厳しいです。
そういうのに当たったりすると辛いものがあるので、多少は好きな部分がないとできないですね。
これから収穫までは、本当にハラハラし通しの期間に入ってきます。